スーパー30 アーナンド先生の教室(劇場)

映画「スーパー30 アーナンド先生の教室」

2019年7月12日インド公開のヒンディー語インド映画。

主演リティク•ローシャン。

 

インド映画は歌って踊るエンターテイメント系映画と歌って踊る社会派映画に別れると勝手に思ってるが、これはバッチリ歌って踊る社会派映画だった。(好きな方のやつだ!)

舞台はインドのビハール州州都パトナ。

ビハール州はインドで一番経済水準が低いらしい。

ビハール州で、入塾テストに受かった貧乏な子供30人にインド最高峰のIIT(インド工科大)にいくための教育を施す私塾(スーパー30)を開いて金持ちの予備校教師と政治家から命を狙われるアーナンド先生の話。

【以下ネタバレ】

アーナンド先生は数学がとても得意。州都の大学図書館に出入りして数学ジャーナルをこっそり読んで、自力で論文を書いてイギリスに送ったら、ケンブリッジ大学から入学許可証が来た!が貧乏なのでイギリスへの渡航費がない。

アーナンド先生のパパは郵便局員。すごいいい人で、「王の子供が王になる時代は終わった!能力があるものが王になる時代だ!」つって年金前借りしたり、お金の工面をしたりですごく協力的。

年金の前借りで渡航費の半分ができたから、前にアーナンド先生が優勝した州の数学大会で「学ぶ者には支援をする」と言っていた大臣に、奨学金の相談をしに行くが、無下に断られてしまう。

民間の保険会社や銀行にも奨学金制度はない、担保がないとお金は借りられないと言われて、結局ケンブリッジ行きは諦めてしまう。

パパも心労がたたって死んでしまう…。

 

パパに膝枕してもらったり髪の毛セットしてもらったりしてて、ファザコンなのか?インドでは当たり前?まあなかむつまじいけど…みたいなシーンがあった。インド映画で初めてみた。

 

結局食い扶持がなくなってママの作った食べ物を売り歩いて過ごす失意の日々…。

食べ物の包み紙になったケンブリッジの入学許可証はあっさり客にごみとして燃やされてしまう…。

そんなとき、たまたま通りがかった町で有名な富裕層の子供たちを対象にした予備校の塾長と出会ってスカウトされる。

 

映画「きっとうまくいく」でもやっていたが、インドもかなり受験競争が厳しく大金が飛び交うらしい。

大学の教授が予備校の講師として教えることもしばしばだと映画で言っていた。

貧困層の人たちも、子供を工科大学にいれてカーストを越えて稼ぐことができるIT企業に就職させたいと思ってる人が少なくなくて、稼ぎをすべて子供の塾代につぎ込むとかあるらしい。

 

アーナンド先生はたちまち看板講師になる。

儲かってきて、家族の暮らしもよくなり、パパの乗ってた自転車からバイクに買い換え、身なりもちょっとチャラくなって腕時計も買っちゃったりして…お金の問題がなくなったから美人の恋人とも順風満帆で…と言う感じ。

塾に学費が支払えないがなにか制度はないか、と相談しに来た学生にも、昔自分が大臣にされたのと同じように「制度はない、諦めろ」と言ってしまう。

パーティーでうかれていたとき、ちょうど会場の外で、塾に学費の相談をしに来ていた生徒が野外で勉強をしているのを見かけたアーナンド先生は、急に次の日から貧乏な子供をIITに受からせるための無料の私塾を開くために行動し始める。恋人との結婚も諦める。

時計やらバイクやら稼いでから買ったものを売って、寮と食事のある教室(ただし寮には窓がなくて廃墟みたいなところ)をぶちあげる。職員は弟とママ。

弟とママ、稼ぎを諦めて社会正義を優先して全力でサポートするのすごすぎる。

 

貧乏な子供たちも、二日間ぶっ続けで歩いてきたとかハンター試験みたいな感じでアーナンド先生の教室にたどり着く。建物からあふれんばかりの子供をペーパーテストで30人まで厳選。

大道芸人、下水清掃人(アウトカースト?)、使用人とかカーストが低そうな身なりもショボくれた子供たち。

試験まで後8ヶ月。急にドラゴン桜になった。

薄々思っていたアーナンド先生がさらに阿部寛に見えてくる……!

鳥はなぜ飛べるのか?雲はなぜ凍らないのか?日常すべてに疑問を持ってなぜを解明しろ!とアーナンド先生。

30人全員が握手をしたら何通りになるか?急に問題を出してみんな答えられてなかった。え~~~後試験まで8ヶ月なのに!?

さすがにそれは数1A50点だった私でも答えられるが…大丈夫か!?

 

アーナンド先生、予備校と和解した上の辞職じゃないので、もめにもめる。

勝手に無料塾を開くと宣伝するもんだから、高い金を払ってる予備校の親子供たちからも不満が出る。

予備校に投資している、大臣からも圧力がかかり予備校の塾長は予備校を開かせないためにいろいろな妨害工作をはかる。

妨害工作には屈すことはなかったが、無料だから食費がなくなってしまう。

食費がなくなったので、予備校の塾長に無心しにいく。え~~!?すっげーもめてるのに!?!?アーナンド先生のメンタルやべえ!

アーナンド先生の生徒たちと予備校生徒たちが同じテストを受けて平均点が高かった方を勝ちとして、アーナンド先生が勝ったら30人の三ヶ月分の食料を、予備校の塾長が勝ったらアーナンド先生は私塾をたたんで予備校講師に戻ると言う条件で、賭けをする。

そして普通に……アーナンド先生たち負けるし!!しかも負けた理由が予備校の金持ちの子供たちにメンタル面でけおされたから!ええ!ここにきておまいらこんなもんだったのか!?!?

しかも結果発表のとき、公正証書まで残してるのに、アーナンド先生はそんな約束してないと言いきる! さすがに塾長がかわいそうすぎる!!! 公正証書は公証人の妻であるアーナンド先生の元恋人が捨ててた!連係プレー!!

 

結局食料は、つぶれそうなレストランのコンサルをしてその代わりにもらうことになった。いや、最初からそうすればいいやん!!

そしてホーリー祭りでの謎の20分間英語しかしゃべれない晒し者劇とか、金が無さすぎて教科書を人数分買えないから生徒が今までの知識を使って映写機をつくって壁に写してみんなで問題を解く(すげー!)とかを経て、それでもつぶれないアーナンド先生の塾にいい加減腹が立った大臣と塾長はついにアーナンド先生殺害計画をたてる。

アーナンド先生は腹を撃たれ、それでも生きてたので搬送先の病院に殺し屋集団が突撃してくることになる。 事前に情報を仕入れたアーナンド先生の教え子たちは「今こそ知識を使うときだ!」と言って物理とか色々使って殺し屋を撃退。

大学合格するためじゃないの~!?!? こんときに流れる知識は武器~みたいな歌のトーン怖くてアーナンド先生がRRRのテロリスト父に見えてきていた。あのラームが弓を引くときにロール、エイム、シュートつってる父ちゃんの影が見えるシーンね。

 

結局アーナンド先生の教え子は全員IITに合格!(全員!?) 0を発明しても1から9を使えなければ意味がないよね!(素晴らしい知識は人に教えることで倍々になってく)スゲー意義ある!ちなみにアーナンド先生と弟は何回か襲撃されてます⭐みたいなエンドで終わった。

 

 

たしかになんでインドって人数多いし0発明してるしラマヌジャンみたいな天才おるしいろんなデカイ会社の社長もインド人なのに、国としてはそこまで発展しないんだろね…。

 

イギリスに論文送っても盗用されてイギリスのものとして発表されるだけだろうみたいなイギリスへの嫌悪がチラッと出ていた。やっぱりそういうのがあるんだな。

 

アーナンド先生はパパのことを愛称で「神様」と呼んでいたけど、家とか、他のところ全般で映画の描写ではヒンドゥー教っぽい描写がなかった。インド映画にしては珍しい気がする。

 

2時間42分、本来のインターバルは飛ばされていたけどだれるところなく楽しめた!

実在のsuper30は2002だか2003だかの初年度は30人中18人合格らしい。それでもすごい。

2012年くらいに東大にアーナンド先生が来たり、日本のテレビの取材が入ったりしているっぽく結構日本と縁深いっぽいし、映画化前からかなり話題になってたんだね。

政府からの支援金や民間からの寄付とかも受け付けることなく今は貧困層以外向けの授業の授業料でスーパー30を運営してるらしい。

 

本当は映画館でやってる時見たかったが行けず、配信が全然なかったので、ヒューマントラストシネマのインド映画祭で最後のひと席だったけどとれた!見てよかった映画だった~。

配信してほしい~。みんなに見てほしい!